チームに成果をもたらすのは「何の」多様性か?

チームに成果をもたらすのは「何の」多様性か?

第2次トランプ政権が誕生したあたりから、米国のテック企業等で推進されていた「ダイバーシティ(多様性)」重視という方針の撤回が相次いでいると報道されています。

そして、多くのコメンテーターや有名企業経営者の人達による、「成果を出すためには、組織に多様性は不要」「多様性は成果を出すことを妨げる」といった主旨の発言が目に入ります。

個人的には、そうした発言を見る度に、悲しくなったり、バカバカしいと感じたりします。

多様性に対して否定的な発言をしている人達の大半が、本当の意味で多様性について考えることなく、表面的な語感だけで、適当に判断していると感じるからです。

人種、性別、年齢、家族構成、所得、在籍年数 等々 の「デモグラフィック(人口統計学的)属性」を多様にしても、成果に繋がらないということは、1990年代後半から2010年にかけて多くの論文が発表され明らかになっています。

 

テック企業の多くで「多様性を重視した採用活動」「多様性を取り入れたチーム編成」が推進されていたと言われますが、その多くが、デモグラフィック面での多様性であるため、成果が出なくて当然です。

さらにいえば、もっと以前の1940年代後半には、チームが上げる成果と、チームメンバーの能力には相関関係はほとんど存在せず、チームメンバーがチームにどのように関わり合い、どんな影響を与えるのか、チームがメンバーにどのような影響を与えるのかが強く影響することが明らかにされています。(英語では、「チームダイナミクス」と言われる概念です)

優れたチームダイナミクスを得るには、チームのメンバーそれぞれが、異なる強みをためらうことなく発揮することが重要ということも、当時から明らかにされていました。

ですから、デモグラフィック面での多様性が存在するチームを作っても、成果に繋がらないということは、とうの昔に明らかにされていることなのです。

Google が成果を出すチームの特徴を洗い出すことを目的として実施された「Project Aristole」では、研究結果として、2012年、「チームのメンバーが誰かではなく、メンバーがチームにどのように関わっていこうとしているか」がチームの成果に大きな影響を及ぼすとされました。
まさに、先に述べたチームダイナミクスが重要であるという研究結果と同じ結論に至ったわけです。

ただ、Googleの発表の新奇性は、優れたチームダイナミクスを得るには、「心理的安全性」が重要であると言ったことです。

three men and one woman laughing during daytime

 

その後、多くの研究者達が心理的安全性について研究を行い、多くの結果が報告されています。

その中で明らかになったのは、チームメンバー個人としても、チーム全体としても、心理的柔軟性を広げること、即ち、「○○でなくてはならない」を手放し、「自分と他人が異なるとことを受け容れ、活用すること」が心理的安全性を高める上で必要であるということです。
メンバー個人としても、チーム全体としても、心理的柔軟性が広くなれば、「ありのままの自分で、発言、行動をしても、このチームでは不当な扱いを受けることがなく、対人関係を悪化させる不安を感じることがなくなる」からです。

心理的柔軟性が広がった状態とは、自分と他人は違うということを素直に受け容れ、活用できる状態です。
即ち、人は多様であるということを受け容れ、活用しようとする状態です。

ここで言う「多様性」は「デモグラフィック面」での多様性ではありません。
「認知(Cognitive)の多様性」です

エマジェネティックス®は、認知的多様性を明らかにし、認知的多様性をチームや個人の力にする科学です。

人はそもそも千差万別であり、脳の使い方が人によって異なることがエマジェネティックス®によって明らかになりました。
脳の使い方が異なると、同じ発言や行動を「良い」「心地よい」「好き」と認知するのか、「悪い」「気持ち悪い」「嫌い」と認知するのかが異なるのです。
エマジェネティックス®プロファイルを見れば、その人が何を「良い」と感じ、何を「嫌だ」と感じるのかが一目瞭然となります。

そして、その認知的多様性を担保したチームにおいて、メンバー個人としても、チーム全体としても、心理的柔軟性が広い状態にあると、非常に大きな成果を出すチームになることが明らかになっています。
その認知的多様性を理解し、活用するために、唯一無二と言って良い道具がエマジェネティックス®なのです。

エマジェネティックス®の理論により、認知的多様性を活かすことができると、チームダイナミクスが大きく向上することがわかっています。
チームメンバーのチームに対するエンゲージメントも、個人やチームとしてのモチベーションも、メンバーのロイヤリティや、自己肯定感、チームへの帰属意識も、全てが向上します。

日本では労働人口が減少し続けることがわかっていますから、ほぼ全ての組織にとって、チームの生産性向上は必須課題であると思います。
エマジェネティックス®は、「デモグラフィック面での」多様性ではなく、「認知的」多様性を活用するには、無くてはならない道具であると思います。
導入してみると、手放せなくなる科学です。

薄っぺらいマスコミの報道に惑わされることなく、一人でも多くの方々にその力を知っていただきたいと願ってやみません。

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